観たり聴いたり

浮いたり沈んだり

黒澤明『乱』

2時間じっとしているのが苦痛なので映画をほとんど見ない。が、先日たまたまTSUTAYAのクーポンが当たったので、黒澤明の『乱』を借りてみた。

  • ピーター、演技は下手だと思ったけど身体で語るのはうまい。踊りも品があるしお小姓らしい軽妙さ。日舞の家元の息子と知ってなるほどと思った。なんとなく「京阿弥」と思い込んでいたら狂阿弥だった。なるほど。真夏の夜の夢のパックみたい。
  • ワダエミの衣装、単なる衣服でなく一小道具として大いに語っている。10年ほど前の『装苑』のインタビューがとても印象的だったんだけど、「日本映画は予算がなくて布をケチる。チャン・イーモウの『LOVERS』など中国映画は予算が潤沢だから布を惜しみなく使って表現できる」というようなことを言っていた。おそらくは『乱』も予算が潤沢だったのだろうなあと思った。一文字秀虎の衣装、布地のはためき方や汚れ方が絶妙。
  • 制作年代的にこういうもん、と言ったところか女性の描写は物足りない。
  • 野村萬斎の鶴丸、笛を吹く指に心細さや恨みが表現され、寂寞とした荒屋にいながら高貴さや繊細さをたたえた佇まい。野村萬斎って目の細さと口元の感じが星野源に似てるな。あの顔って周期的にはやるのかもしれない。だとしたら野村萬斎の息子も安泰だな。
  • 仲代達矢の身体能力はすごいな

聞きしに勝るエンタメかつ純文学ぶり。映画は一人じゃ作れないし、資金の問題もあるし、だからこそできることもあるけれど運に左右されるところが大きいんだろう。その中でコンスタントに名作と呼ばれる作品を撮り続けられたのはやはり普通の人間ではない。

映像表現は全く数を観ていないから、これからいろいろと観るのが楽しみ。今度は『羅生門』借ります。

 

乱 デジタル・リマスター版 [DVD]

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